ギフテッドのレベルを更に識別するWISC-IVの拡張規範

IQに関しての情報で、たまに目に入るのが、

「彼はIQが190で...」

とか言った知能指数の数値なのですが、こういうのを見たり聞いたり
すると私はいつも、(この数値、一体どのテストから得た数値?)と
思ってしまいます。

現在、アメリカで一般に用いられている Stanford Binet 5 WISC-IV
Differential Abilities Scales (DAS) などといった、個別式知能検査の
Ceiling(最高数値)は大抵が160~175の範囲であります。


IQ190 やら220とかいった数値が出てくるので知られているStanford-Binet
(Form L-M)
(スタンフォード・ビネー法 L-M版)は、最後に正規化された
のが1972年と、かなり時代遅れのテストであり、一部のギフテッド専門家達
の間では”並外れたギフテッドを選別できる唯一のテスト”として評価され、
使われている場合もありますが、現在ではギフテッドの選別法としては
ほとんど用いられていない事もあり、これらのずば抜けて高い数値は一体
どこから来ているのだろう?と思ってしまいます。


*並外れたギフテッドの選別が目的によるStanford-Binet(Form L-M)
の使用についての詳しい記事はコチラ。

Why We Use the Stanford-Binet (Form L-M)

Current Use of the Stanford-Binet (L-M)

ちなみにこちらはこの記事とは直接は関係ないですが、Stanford-Binet
(Form L-M)
WISC-IIIの数値を較べた資料で、(同じ人物のこれら2つの
テストのスコアの違いが表に記されています。)その違いがなかなか
興味深いです。

Comparison of Stanford-Binet (L-M) with WISC-III scores

ちょっと本題から脱線しそうになりましたので、又もとにもどしてと。

現在用いられているほとんどの知能テストの最高値が160辺りという事で、
これらのテストは”ギフテッドかそうでないか”というのを判別する目的
は果たすものの、Levels of Giftedness (ギフテッドのレベル)を識別する
という意味では、あまり効果的ではないようですね。


とは言え、最近ではこれらの一般の知能テストに、gifted (一般のギフテッド)
highly gifted(高度にギフテッド)とを更に識別する為に開発された、
”特別な測定メソッド”が適応されているようです。


日本でも普及され始めた WISC–IVでは、The WISC–IV extended norms
という、一般から更に拡張された規範を用いる測定法が追加され、これは
子供の下位検査の数値に1819が2つ以上あった場合、この規範が子供の
能力レベルを更に識別するのに大変参考になるとの事です。


詳しい計算方法などについての情報は、このサイトで得られます。


ただ、この測定法を利用する為には、下位検査でのRaw Score(実際問題
に答えて正解した数で、18、19などの最終的に換算された数値ーScaled Score
ではない)を知る事が必要となりますので、テスターがきちんとその
数値を記入している事を確認する必要があります。


下位検査の数値が19だった場合、子供はその検査での”最高数値”に達した
ことになるのですが、(下位検査の数値範囲は1~19で10が平均)19の数値
を得る為にはある一定の数だけの正解数を得る必要があり、例えば6歳の子
が「単語」の下位検査で19の数値を取る場合、35問は正解しないといけない
としましょう。

2人の6歳の子がいたとして、両方とも「単語」の下位検査では19と
いう数値だったとします。

1人はテストの質問に35問正しく答えられ、19という数値を得たとします。

もう1人の子は出される問題を次々とクリアしていき、最終的にとうとう
限界に達した時点では50問答えられたとします。

通常の場合、いくら50問答えられたからといっても、19という数値が
最高値なので、この子の「言語」の数値は19となります。

この二人は「言語」の下位検査数値が同じ19と言う事で、表面的には
”同じレベル”と見えるかもしれませんが、実は1人は35問、もう1人
は50問正解、と明らかに能力に違いがあるわけなんですよね。

これはその識別を明らかにしようと試みた方法なわけなんです。
(私のつたない説明で理解していただけるか心配ですが...)


あーちゃんが8才の時、当時どちらかと言えば北カリフォルニアに近い
ところに住んでいた私達は、わざわざ7時間以上も車をとばして、南
カリフォルニアまでギフテッドの専門家であるDr.パーマーを訪ね、本格的に
あーちゃんの知能検査をしてもらったのですが、その時のWISC-IVで、
あーちゃんのVCI(言語理解指標)148と出ました。

言語性IQが148という数値は>99.9パーセンタイルと、それ自体”highly gifted"
のレベルだったのですが、その細かい内訳をみてみると、

Similarities  (類似)  16

Vocabulary  (単語)  19

Comprehension (理解) 19


と、下位検査で19が2つあり、好奇心もあってこの「拡張された規範」
で調べてみると、(Dr. Palmerはさすがギフテッドのスペシャリストと
いう事で、ちゃんとこのraw scoreのデータも報告書に記入してくれて
いました。)「単語」と「理解」の両方の下位検査にて、19を得るのに
必要な正解数をうわまっていて、結局最終的には言語理解指標が
158という数値となってました。

(PRI–知覚推理指標は”ただのギフテッド”の範囲でしたが。笑)


まだギフテッド教育が普及されていない日本では、この識別法は教育機関
への実践的な応用としてはあまり関係ないとは思いますが、自分の子が
下位検査で最高値に達していた場合、そのギフテッドの度合いをある程度
把握するのには、親として参考になるツールではないかと思います。


*Dr.パーマー訪問の話題がでたついでといっちゃなんですが、その時の
思いでの写真もアップしました。

(当時あーちゃん8才)

          Dr.パーマーのオフィスがある Laguna Beach, CA




                あーちゃんがまだちっちゃい!



          せっかくだから、帰りがけにPismo Beachにも寄りました。





            やっぱりカリフォルニアはビーチがあって良いね〜。




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by giftedinfo | 2012-09-27 17:17 | Testing &Assessment

アメリカ在住。2e (Gifted & ASD)の子を持つママがこれまでネットや本、ペアトレ、ワークショップなどで収集してきたギフテッド/2Eに関する情報や、我が家が実際体験したギフテッド関連の事などを記録しています。My 2e kidのカテでは息子の自慢話も盛りだくさんですので、親バカ恐怖症の方は要注意!


by あーちゃんママ
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