こちこちvsしなやか「マインドセット」

以前、こちらの過去記事でもこの Carol Dweck(キャロル・S・ドゥエック)
による研究については少しだけふれましたが、今回こちらの「MINDSETS &
IMPOSTOR SYNDROME」
という記事に、その内容についてがわかりやすく
説明されていて、ギフテッドの子供を持つ親にとってはとても参考になる情報だ
と思ったので、ここで簡単にその内容をまとめてみました。


◆こちこちvsしなやか「マインドセット」
(Fixed vs Growth Mindset)
 
「マインドセット」とは

”経験、教育、先入観などから形成される思考様式、心理状態。暗黙の了解事項、
思い込み(パラダイム)、価値観、信念などがこれに含まれる。”


と言う事ですが、まぁ簡単に言えば、個人の物事に対しての見方、心構え、姿勢、
態度や信念といった”心の志向性”を表現した言葉で、ドゥエックの研究によると、
私達はどういった褒め方をされるかによって、こちこち(固定的)又はしなやか
(増大的)マインドセットのいずれかを発達させるとの事らしいのです。



「個人の能力は努力しだいで伸ばす事が出来る」といった思考様式を「しなやか
マインドセット」(Growth Mindset)
と呼び、こういった思考傾向を持つ者は
チャレンジや困難を”克服し、自らの能力を伸ばすチャンス”といった見方をします。


一方、「個人の知能や能力は持って生まれたもので固定化されたものであり、
努力しても変わらない」
といった思考様式を「こちこちマインドセット」
(Fixed Mindset)
と呼び、こういった考え方をする者が困難な問題に直面
した際、”自らの能力を超えた域”に入り込んでいるので、その域から退去
すべきだ、と考えるのです。


彼らにとってチャレンジや困難は”避けるべき障害物”なのです。



ギフテッドの人達の間によくみられる” impostor syndrome”(インポスター
シンドローム)
と同じく、こちこちマインドセットの場合も”何事も難なく完璧
に出来ないのなら最初からしない方がいい”という姿勢から、個人にとって
チャレンジングな状況を避けるようになるのです。


しなやかマインドセットの持ち主は、能力が開花し、結果が見えるにはある程度
時間がかかるというのを認識しているのに対して、こちこちマインドセット
持ち主は、その都度自らで瞬時「成否」を決めてしまうがあまりに、物事に本気
で取り組むことを恐れ、それを避ける傾向にあるとの事です。


そしてDr. Dweckによりますと、このマインドセットの発達には、”褒め方”
が大いに関係してくると言う事で、例えば、子供がテストで100点を取った
場合などに、


「100点を取るなんて、やっぱりあなたは頭がいいわね!」


などと、良い結果、成果をフォーカスして褒めると、子供は「良い結果を出さない
と親は褒めてくれない」「成功しないと褒めてくれない」と受け取るかもしれず、
その為、良い結果を収められる範囲内の事にしか取り組まなくなってしまう恐れ
があるとの事。


又、失敗した時など挫折感も強く感じてしまい、失敗を受け入れる事が出来ず、
時には自分自身の能力やアイデンティティさえ否定してしまい、失敗を恐れる
があまり、自らの能力以上の事にチャレンジできなくなってしまうという事で、
そうなると、明らかに個人の学習や人格形成の部分にも大きな影響を与えてし
まう事になりますよね。


こういった”子どもの才能や頭のよさを褒める”という”褒め方”は、”能力は持って
生まれた固定的なものだ”というアイデアを子供に植え付けてしまう事になり、
「こちこちマインドセット」の発達を促す事にもなりますので注意が必要だとの
事なのです。


一方、同じテストで100点を取った場合でも、


「わぁ、よくやったわね!毎日授業もきちんと聞いて、家でも頑張って
 勉強していたものね!」



と言ったように、結果だけでなく、取り組みに対する姿勢、態度、努力や成長
ぶりなどにフォーカスした褒め方をすると、”努力次第で能力も伸びるんだ”
といった「しなやかマインド」が育まれ、又失敗した時にも粘り強く努力を
続けていく事ができる”復元力"( resilience)を発達させていく事ができると
いいう事です。


この部分こそ、少し前の記事、「ギフテッドのニーズを無視すると...」の中で
あげた、”学びのプロセス”の一部ではないかと思います。



あーちゃんも学校やその他の場所で、クラスメートや先生、コーチ達からよく
”You are so smart!"とか”すごい才能の持ち主だ”とか言った、「こちこち
マインドセット」
を育むような褒め言葉をもらう機会が多いのですが、多分
多くのギフテッドの子達が、多かれ少なかれこういった”良しと思っていった
褒め言葉”により、マインドセットの形成に影響を受けている部分もあるのでは
ないかと思います。


元々自らに厳しく、完璧主義者であるギフテッドの子にとっては、こういった
褒め方は、さらにこの子達の学習面、精神面、感情面での発達を遅れさす要因
ともなりかねませんので、私達親や教師などの大人が、こういった概念を認識
している事が大切ですよね。


最後に、上記の記事に私達が気をつけるべき点がいくつかあげられてました。


◆要点


・「褒め方」には予想せぬ影響があるという事を認識する。
  
 最終的な結果だけでなく、作業過程や努力の大切さを強調する。


・早くから子供にチャレンジの機会を与える。

 簡単なパズルを何度も解かせない。マスターした事を確認させ、
 それより少し難度が高いものへと進行させる。


(これこそまさしく、ギフテッドの”教育ニーズ”の部分でもありますよね。
 既に修得した内容を何度も復習する事は、彼らの能力を発展させる為の
 ”チャレンジの機会”を奪い取ってしまい、「しなやかマインドセット」
 の育成の妨げにもなることになるのでは?と思います。)


・子供、特に年齢が上の子には率直に伝える。

 子供が困難につまづいたり、壁にぶつかっているからと言って、それは
 決して彼らが”能力以上の事に挑んでいるからではない”というのを伝える
 事が重要である。


(彼らが行き詰まっているのは”能力が欠けている”せいなのではなく、
 困難なレベルにチャレンジする際は、それもごく当たり前の事であり、
 努力をすればそれらを克服することができる、というメッセージを送る
 事がとても大切なんではないかと思います。)


以上、ごく簡単に「こちこち&しなやかマインドセット」についてまとめて
みましたが、更に興味のある方はこちらの書籍を読む事をお奨めします。


           Mindset: The New Psychology of Success




       「やればできる!」の研究―能力を開花させるマインドセットの力



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by giftedinfo | 2013-05-27 18:20 | Instructions

アメリカ在住。2e (Gifted & ASD)の子を持つママがこれまでネットや本、ペアトレ、ワークショップなどで収集してきたギフテッド/2Eに関する情報や、我が家が実際体験したギフテッド関連の事などを記録しています。My 2e kidのカテでは息子の自慢話も盛りだくさんですので、親バカ恐怖症の方は要注意!


by あーちゃんママ
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