ガニエのギフテッド/タレンティド区別化モデル (DMGT)

ギフテッドやタレンティドの定義や考え方も、個人や団体・機関によって様々なようでは
ありますが、私は個人的にはこちらのGagné氏の見方が一番しっくりします。



(チラッと調べてみると、日本語では”ガニエのギフテッドとタレンティドの差別化モデル”
と訳されているみたいですが、私は"differentiated"という言葉が”差別化”となっている
のにニュアンス的にやや違和感を感じてしまう為、あえて自分勝手に”区別化”としています。
苦笑)


「ギフテッド」と「タレンティド」という言葉に関しては、個人や団体(学区など)に
よって、それぞれが違った意味で定義付けされていたり、特にあえて区別せず使われて
いる場合も見られるのですが、ガニエはこの2つをはっきりと区別しています。


彼の考えによると、「ギフト」(Natural Abilities) というのはそれぞれ個人が”持っ
て生まれた資質/才能”で、「タレント」(Talent) は”それらの才能(ギフト)から体系
的に開発されたスキル・能力”と区別して見ているようです。


ガニエによる、主に遺伝的に決定されるギフト(天性の素質・才能)の領域というのが、

Natural Abilities

(精神面)

知的能力:一般的知能('g'要因)流動性、結晶性推論、言語的、数的、空間的、
  記憶、手続き的、叙述的能力
創作力、発明性(問題解決のスキル)想像力、独創性(芸術)検索の流暢性
社会的情動能力:洞察力、知覚の鋭さ(操作)、対人スキル、社交上手、機転
          影響力、説得力、雄弁さ、リーダーシップ、求愛、育児
感覚的能力:視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、固有受容感覚(目を閉じていても、
        自分の手や足の位置と、それを動かしていることがわかる感覚)

(身体面)

筋肉:力、スピード、強さ、耐久力
運動調節:スピード(反射)機敏、コーディネーション、バランス


で、以下がTalent (タレント)の分野であります。

Talent

アカデミック(言語、数学、科学、人文学、職業教育)
テクニカル(交通、建設、技能、製造、農業)
サイエンス&テクノロジー(エンジニアリング、医療、社会)
芸術 (創作、舞台、応用、ビジュアル、文学、口頭)
ソーシャル・サービス(健康、教育、コミュニティ)
経営/販売(管理、マーケティング、保護、検査)
ビジネス運営(記録、財政、流通)
ゲーム(ビデオ&カード、チェス、パズル)
スポーツ、アスレチック


そして、持って生まれた資質や能力(ギフト)を、特定の秀でたタレント(体系的に開発
されたスキル)へ移行する為のプロセスがこちらであります。


Talent Development Process

活動:アクセス、内容、形式
プログレス:段階、ペース、転機/岐路(ターニング・ポイント)
投資:時間、経費、労力


ガニエの見方によると、すべてのタレントが内部と外部の触媒(促進の働きをするもの)
の影響を受けて、学習や練習を通じて自然の能力(ギフト)から開発されているとの事
なので、この発達のプロセスがうまく行われないと、従来の才能(ギフト)がフルに開
花されない恐れもあるわけですよねぇ。

(ギフテッドのアンダーアチーブメントがこの例でしょう。)


いくらスポーツや音楽などの資質や才能を秘めていても、適切な指導やトレーニングな
しではその才能を完全に発達させることはできないでしょうしね。



それと同時に、いくら長時間のトレーニングや練習をしても、ギフトの部分が欠けている
(元々の資質や才能が備わっていない)と、ギフテッドの個人が達成するのと同じレベル
のタレントには発達できないとの見方で、これは私もずっと昔からそう感じてたので、この
部分を読んで頷けました。


(運動能力全般に欠ける∫が、いくら優秀なコーチから指導やトレーニングを受け、莫大
な時間を練習に費やしたとしても、優秀なアスレートやスポーツ選手になれるとは考えら
れませんので。苦笑)


(だから私には「10,000時間の法則」の概念があまりにもシンプリスティクに思え、
すんなりと”はい、そうですか。”と納得できないのであります。)


話を元に戻しますが、その発達のプロセスに影響する触媒というのが、

Intrapersonal Catalysts (個人内的触媒)

学習プロセスにポジティブにもネガティブにも影響を与える個人の特徴が、

身体的特徴:外見、障害、健康
精神的特徴:気質、性格、回復力

そしてこちらが目標管理の要因

認識:(自他共の長所や弱点の認識)
モチベーション:(価値観、ニーズ、興味関心、情熱)
意志:自主性、努力、根気


Environmental Catalysts(環境的触媒)

タレントの発展に影響する環境的要因

・環境、境遇:(物理的、文化的、社会、家庭的)
・人:(両親、家族、仲間、教師、メンター)
・設備:エンリッチメント(カリキュラム、教授法、(学習ペース)
    管理上(別クラス方式、能力別クラス、飛び級など)

chance

個人内的/環境的触媒と、自然の能力(ギフト)に影響を与える要因。

個人がどの外的環境に、どういった個人的特徴を持って生まれてくるか(遺伝的要因
に大いに関係する)はチャンス(偶然、好機)による。

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こうやって図で見てみるとわかりやすいですね。


個人の持って生まれた素質、才能が”タレント”に発展する為には、個人の置かれた
環境や状況、そして本人の気質や性格などがそれぞれ複雑に相互的に影響し合って
いるという感じで、それを考えると、ある子供には効果的な活動やプログラムも、
別の子供には効果が見られなかったり、それどころかタレントの開発の分野のみ
ならず、子供の感情面、精神面でネガティブな影響を与えたりして、”逆効果”にな
ったりする事もあるのではないかなんて思ったりします。


例えば、ある子にとっては「飛び級」、「複数学年飛び級」が効果的であるかも
しれませんが、別の子にとっては気質、性格的にそう言った環境があってなくて、
精神的に辛い思いをし、学業にも悪影響を与えたりなど。


ギフテッドの子の能力を最大に伸ばすには、これら個々の「個人内的触媒」と
「環境的触媒」の要因に目を向け、それぞれの要素がそれぞれユニークな子供に
効果的に作用しているかを常にチェックして見極めながら、そうでない場合は
その都度、子供に効果的であるように微調整をしていきながら、この「発達の
プロセス」のサポートをしてあげるべきではないかと思いました。


最後にこのトピックについての動画も見つけたので、ついでにアップしておきます。




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by giftedinfo | 2016-04-18 05:23 | What is Gifted?

アメリカ在住。2e (Gifted & ASD)の子を持つママがこれまでネットや本、ペアトレ、ワークショップなどで収集してきたギフテッド/2Eに関する情報や、我が家が実際体験したギフテッド関連の事などを記録しています。My 2e kidのカテでは息子の自慢話も盛りだくさんですので、親バカ恐怖症の方は要注意!


by あーちゃんママ
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