ギフテッドと実在的危機

ギフテッドに関する文献を読んでいると、よくexistential crisis(実在的危機)と言う言葉を目
にします。

この実在的危機、英語版のWikipediaによりますと、

"An existential crisis is a moment at which an individual questions the very
foundations of their life: whether this life has any meaning, purpose, or value."

とあり、まぁ、ざっと簡単に言うと、個人が自らの人生(そして多分、世のあり方や、”人生”一
般において)その意味や目的、価値などに疑問を抱き、あれこれと思い悩んで精神的に危機感を
感じる状態じゃないかと思います。


ギフテッドの個人は、彼らのその独特な思考パターンや傾向の為、この実在的危機を早期の年齢
に、頻繁に経験しやすいということが一部にあげられている記事を読み、その説明がとても興味
深いと思ったので、リンクしておきます。



Existential crises happen a lot earlier, bigger, and more often.

For many gifted people, looking at a lamppost is a different experience than it is for the
rest of the world. They do not just see a lamppost. They see an imagined history of how
the materials that comprise the post were sourced, manufactured, and installed. They see
the way that the lamp is connected to a power grid like a cell in a greater organism of a
city and how they fit into that system. Imagine then, for a moment, what it must be like for
such a person to turn their attention to their existence and what it means to be human.


The world is ready for angsty teenagers. The brooding 15 –year-old is a cinematic trope
for a reason. People are less prepared for 6-year-olds in the midst of an existential
crisis befitting a 40-year-old. Not only does it not fit the script, but it may be contributing
to depression for decades to come.

(Understanding Very, Very Smart Peopleより抜粋)


一般人だと、街中で街灯柱を見たとしても、特にあえて何も思わないんでしょうが、ギフテッド
の個人はそれを単に、「街灯柱」と見るのではなく、そのパーツの原料はどのように供給され、
製造され、設置されたのか?などといった歴史を想像したり、ランプが送電網へ接続している様
子を、都市という偉大な有機体の中の細胞であるかのように、それらがどのようにシステムにう
まく適合しているのか?などと見たりして、様々な思考や概念が次から次へと湧いて、そこから
又、別の考えに繋がったり、飛躍したりと、思考の収集がつかない感じになるんでしょうねぇ。


そういう独特で複雑な思考パターンの傾向を持つギフテッドの人たちが、物事(街灯柱)だけで
なく、人生や個人の存在、人間であることの意味、などと言った分野へ視点を向けると、実在的
な課題の熟考に深く陥ってしまい、実在的危機を感じやすくなるのかもしれませんね。


思春期のティーンが実在的な課題に苦悩する姿は、まぁ、一般的によく見かける光景ではありま
すが、知能、認知機能が発達した(論理的思考、パターン認識力、分析力、観察力、洞察力、想
像力に優れている)ギフテッドの子供は、まだ幼い頃からこう言った実在的な課題について深く
考え込んだり、思い悩んだりして、その結果、”精神的な危機”を体験することも少なくないと思
うので、それらが実在的うつへ移行することにならないよう、親や指導者、カウンセラーなどの
周りのものは、気をつけてあげることが大切ではないかと思います。


*ちなみに先日、取り上げたEGMさんが紹介してくださったこちらの研究結果報告の中にも、

”A highly ruminative cognitive style has been shown to be associated with
increased vulnerability to major depression (Marchetti, Koster, Sonuga-Barke,
& De Raedt, 2012; Nolen-Hoeksema, 2000) and contributes to symptom
severity (Coplan et al., 2006, 2012; Kushner & Weber, 1999)."


とあり、深く考え込む認知スタイルは、大鬱病にかかりやすく、症状の重症度に関係する、など
と、似たようなポイントが書かれた部分があり、なるほどねと思いました。


尚、過去にギフテッドの実在的鬱についての記事も書いてますので、念のため、興味のある方の
為に、そちらの方もリンクしておきますね。


The Curious Life of ∫より転載)

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by giftedinfo | 2017-11-13 06:48 | Social/Emotional

アメリカ在住。2e (Gifted & ASD)の子を持つママがこれまでネットや本、ペアトレ、ワークショップなどで収集してきたギフテッド/2Eに関する情報や、我が家が実際体験したギフテッド関連の事などを記録しています。My 2e kidのカテでは息子の自慢話も盛りだくさんですので、親バカ恐怖症の方は要注意!


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