2016年 08月 27日 ( 1 )

そんな簡単なものではない

以前私達が住んでいたカリフォルニアの学区もそうだったけれど、アメリカ内でも比較的
ギフテッド教育に熱心で、小学校から高校までシステム化されたギフテッドプログラムが
実施されている我が学区でさえ、私が常日頃から感じていた事についてがこちらの記事で
取り上げられていたので、それを読んで(やっぱりそうだよなぁ)と思ってしまいました。



"The United States routinely spends more tax dollars per high-school
athlete than per high-school math students---unlike most countries
worldwide. And we wonder why we lag in international education
rankings?"


"Sports are embedded in American schools in a way they are not
almost anywhere else. Yet this difference hardly ever comes up in
domestic debates about America's international mediocrity in
education. (The U.S. ranks 31st on the same international math test.)
The challenges we do talk about are real ones, from undertrained
teachers to entrenched poverty. But what to make of this other
glaring reality, and the signal it sends to children, parents and
teachers about the very purpose of school?


アメリカの一般的な公立学校、特に高校というと、フットボールなどのスポーツがかなり
全面的にプッシュされていて、スポーツ関連のプログラムも充実している(学区の教育資
金もそちらにかなり当てられている。)のですが、その反面、アカデミック(教育)面に
関して言えば、アメリカはPISAの世界ランキングでは数学が31位という情けない結果で
ありながらも、確かに米国内ではこの事実(数学やその他のアカデミックな分野よりも
スポーツに資金が当てられていたり、力が注がれていたりする)が話題に取り上げられる
ことは少ないように感じますねぇ。


アメリカの生徒の学力が低い理由の一部として、”教師の質”(訓練不足)とか、”貧困の
問題”とか、原因とも言える要素が色々挙げられてますが、でもこの”学業よりもスポーツ
に資源や資金、人材をつぎ込む”という、おかしな優先順位のつけ方(判断)については
滅多に話題に上がってきませんよ。


私が思うに、世の中や学区側も認識はしているけど、気がつかない振り、もしくは見て
見ぬ振りをしているのではないかと。


"Over the past few years, budget cuts have forced more school
districts, from Florida to Illinois, to scale back on sports programs.
But in most these places, even modest cuts to athletics are viewed
as temporary--and tragic--sacrifices, not as necessary adaptations
to a new reality. Many schools have shifted more of the cost of
athletics to parents rather than downsize programs. Others have
cut basic academic costs to keep their sports programs intact."


"Football at Premont (HS) cost about $1,300 a player. Math, by
constrast, cost just $618 a student. For the price of one football
season, the district could have hired a full-time elementary-school
music teacher for an entire year."


教育予算削減の為により、教員や業務関連の人材、その他、諸々のプログラムをカット
したり閉鎖が強いられた場合、上記の例にもあるように、スポーツ関連のプログラムを
維持していく為には、基本的なアカデミックな分野のコストを削減することもある、と、
学業(教育)よりもスポーツ優先!って感じで、何やら本当に学校の本来の目的(教育
じゃないの?)を見失ったかのような、まさに判断力が問われるような優先順位のつけ
方ではないかと思ってしまいますが。


で、資金削減の対象が、スポーツ関連以前に数学などの”基本的なアカデミックの分野”
へ向けられるのであれば、当然、それらの必須項目よりも”エキストラ”、”贅沢”的存在
であるギフテッド・プログラムがまだ先に犠牲になるでしょうから、たとえ学区にそれ
らのプログラムが存在していても、将来的にはどうなるかもわからないわけですよ。


(実際、∫が通っていたカリフォルニアの公立学校(Kー8)でも、州の教育予算削減
の為に、それまであったギフテッドプログラムが廃止されてしまいましたし。涙)


ギフテッド教育が実施されているアメリカと言えど、州や学区によってその存在や内容
も大幅に異なりますし、(尚、アメリカの州ごとのギフテッド教育事情についてはこち
らのデイビソンページで情報が得られます。)例えそれらが現在存在していても、将
来的にはどうなるか、何の保証もないと思いますよ。


だから一概に、「アメリカに行けばギフテッド教育が受けられる」というわけでもない
ですし、しつこいようですが、アメリカでも州や学区によりけりなんです。


子供にとって適した教育環境(ギフテッド教育)を望むのであれば、アメリカ国内でも
綿密なリサーチは必要不可欠ですし、(そして必要ならば機会を求めて地域を移動する
ということも考慮しなければならない)海外(日本)からそれらを求めてやってくる場合
など、どの州のどの学区でどういった教育やプログラムが提供されているのか、という
のを事前に調べることはmustです。


だからたまに日本の”ギフテッドについて詳しい専門家や心理士”などが、ギフテッドの
子の育児や教育に途方に暮れている親に対して、

「今の日本ではギフテッド教育はまず無理なので、海外に移住、もしくは留学させて
あちらで(ギフテッド教育を)受けさすのがベストでしょう。」

などと、こちらの詳しいギフテッド教育事情についての情報も提供せず、こんな風に
軽々しく言ってるなどの話を聞いたりすると、はっきり言って無責任だと思いますよ。


又、それはこちら(アメリカ)に在住する者が、たかが地域的にギフテッド教育につ
いて少しばかりの知識や情報を得ているからと言って、アメリカとは社会状況や文化、
国民性、教育事情なども異なる日本在住の人達に、”やっぱりアメリカに行くべきです”
などと、簡単にアドバイスするのも同様に無責任だと思いますね。

実際はそんな簡単なものではないんだから。


第一、子供がネイティブのように英語で学習できるほどの英語力を持っていなければ、
ギフテッド・プログラムに選抜されるだけの学力(特に英語)なりテスト結果なりを
すぐに出せる(示せる)というものでもないでしょうし、それどころか一般の授業に
ついていけないと見なされた場合は、ESLのクラスに入れられたりして、ギフテッド
プログラムどころの話ではないのが現実でしょうし。


私が以前、∫の学校でボランティアしていた時、クラスの中で明らかに賢い(知能が高い)
とわかるメキシカンの移民の子がいたのですが、彼女は英語力が低かった為に英語の成
績やテストの結果が悪く、”学力低レベルグループ”に入れられていて、(この子がごく普
通の家庭/教育事情のもとで育っていたなら、元々の高い知能や学力を示すことができる
可能性も高く、ギフテッド・プログラムなり”高レベルグループ”なりに属していただろう
なぁと、とても残念に思ったりしたものでした。


又、∫の所属する北ネバダ数学クラブのメンバーの一人に中国から来ている子がいて、彼
はとてもスマートで学力も高いので、(もちろん数学も優秀)こちらに移住している彼の
叔母さんが、彼にこちらで優れた教育環境を与えてあげたいとわざわざ彼をアメリカに
呼び寄せ、PG専門のデイビソン・アカデミーに入学させようとしたらしいのですが、彼
は米国市民でもなく、永住権も持っていなかったので、パブリックスクールであるデイ
ビソンへ入学することができなかった、などという話なども聞いたりしました。


尚、別に市民権、永住権を持っていなくても、地域の一般の公立学校へ行くことはでき
るとは思うのですが、(永住権を持ってない日本人駐在員の子なども普通の公立学校に
行ってるし。)デイビソンは州の特別なギフテッド専門学校なので、外国人の受け入れ
にある程度制限があるのかもしれません。

(私も詳しいことははっきり知りませんが。)

(あっ、考えてみればギフテッドのサポートが目的であるデイビソン・ヤングスカラーズ
の応募資格も、米国市民か永住権を持つ者ってあって、外国人は対称でないみたいだし。)


仕方なく、その叔母さんは彼を地元のかなり高額な私立学校へ入れたのですが、彼の
学力レベルではその学校はフィットしてないらしく、(デイビソンを目指すくらいの
レベルなら、その学校が合ってないというのがもちろん理解できた。)わざわざ中国
から呼び寄せたものの、どうしていいやら途方に暮れているなどと言ってました。


でもアメリカ、特にカリフォルニアのベイエリアや東海岸のある一定の地域なんかだと、
私立のギフテッドスクールも山ほどあるのではないか?と言われるかもしれません。


確かに”ギフテッドスクール”と称する私立の学校も全米のあちこちにありますが、授業
料も私立の大学並くらいのところも少なくなく、日本からだと(よっぽど裕福な家庭で
ない限り)経済的な面でもバカになりませんし、また、これらの学校は入学審査なども
知能検査や学力試験(SSAT/ISEE、 SAT/ACTなど)などを提出しなければならなかっ
たりするところも多いので、(特に名門校の場合など)そうなると又、「言葉」(英語)
の問題が上がってきたりと、英語を母国語としていない子(又はバイリンガルでない子)
にとってはかなり厳しい道となるのではないかと思うのです。


こんなことを言ってしまうと、ギフテッド教育を求めて海外へ行こうと考えている方の
希望や夢を壊してしまうかもしれないのですが、でも「アメリカに行きさえすればギフ
テッド教育が受けられる。全てが解決する。」と、実際の状況を何も調べずに期待だけ
していると、理想と現実のギャップに直面してしまうかもしれないということを言いた
かったのであります。


でも、きちんとリサーチして知識や情報を得、しっかりと準備をして臨めば、子供に
とって最適な社会、教育環境の機会を与えてあげられるかもしれませんので、やはり全
てはその個人次第ではないかと思います。

ギフテッド教育に関しては、アメリカに住んでいる者でさえも、子供の為にできる限り
ベストな教育の機会を与えてあげたいと、知識や情報を片手に、理解のない理不尽な
教育者を相手にしながら、あれやこれやと試したり、失敗したりと試行錯誤を繰り返し
ながら、日々、頑張っているのが現実であります。


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by giftedinfo | 2016-08-27 07:19 | Gifted Education

アメリカ在住。2e (Gifted & ASD)の子を持つママがこれまでネットや本、ペアトレ、ワークショップなどで収集してきたギフテッド/2Eに関する情報や、我が家が実際体験したギフテッド関連の事などを記録しています。My 2e kidのカテでは息子の自慢話も盛りだくさんですので、親バカ恐怖症の方は要注意!


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